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Architectural Portfolio - Selected Works -
Zahra Baharinia
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私は筑波大学で修士号を取得した建築デザイナーで、設計はいつも「人が空間とどう出会うか」、歩く・立ち止まる・手すりに触れる・風を感じる・時間とともに変わる光を見る、から始めます。
手描きや模型づくりとRevit·Rhino·D5などのデジタルツールを行き来しながら、平面·断面·ディテールを早い段階で検証して体験の質を素直に整えます。建物が街や気候、文化とどう関わるかを大切にし、まずは受動的な日射遮蔽と通風を考え、装飾よりも採光と視環境の心地よさを優先し、地域で手に入る低環境負
荷の素材を丁寧に選び、リサイクル/プッブサイクル材も適材適所で使います。
私は個人作業もチームでの協働も経験しており、複雑な条件を「建てやすくて性能が上がる」シンブルなルール(方位·開口·構造·納まり)にまとめるのが得意です。将来は、ZEB(ゼロエネルギー)の設計、リサイクル·アッブサイクル素材の活用、そして照明と視環境の設計をさらに深め、環境性能と人の体験が競合するのではなく、互いに支え合う建築を実践していきたいです。
丁寧で質の高い仕事を通して、少しでも良い環境を次の世代でへ渡したいです。
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Contents ―
私がこれまで手掛けた実績・作品をご紹介します。
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01. 修士論文:材料アップサイクリングに向けたスーパー・アドベ後方の適用性の分析と強化
本プロジェクトでは、都市環境におけるサステナブルなデザイン手法のモデルとして、循環型の「アップサイクル」に着目しました。東京の「青山ファーマーズマーケット@UNU」を舞台に、都市廃棄物を有効活用できるよう、土嚢建築技術である「スーパーアドビ」をどのように応用・改良できるかを探っています。
素材・道具・人の動きという3つの機能的関係を分析することで、布や梱包材など、その地域に豊富にある「ゴミ」を「デザインの部材」へと変えることを目指しました。
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プロセスとしては、まず日本アースバッグ協会(JEBA)のマニュアルを分析し、スーパーアドビ工法を成立させるための「適応条件」を定義しました。
これにより、本来の材料以外でも使用可能な条件を検証しています。その上で、ファーマーズマーケットにてインタビューや廃棄物の実態調査を行い、この条件を満たすアップサイクル可能な素材を選定しました。
最終的な成果として、土嚢袋や中身の素材を代替品に置き換えるなど、スーパーアドビのプロセスを改良し、廃棄物をアップサイクルした「スーパーアドビ」を用いたマーケットのステージデザインを提案します。
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02. MOTRICITY AREA
筋肉を使って動きを生み出す能力、すなわち身体の動きを制御し、調整(コーディネート)する力を指します。
これは身体的な発達における重要な要素であり、健康な身体とその機能を維持するために欠かせないものです。
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1. 構想とスケッチ (Sketching & Conceptualization)
リサーチ結果と、そこで抽出した「アクション・バーブ(動作を表す言葉)」に基づき、チームメンバー全員でアイデアを出し合うブレインストーミングから開始しました。
2. プロトタイピングと3Dモデリング (Prototyping & 3D Modeling)
アイデアをより具体的に視覚化するため、縮尺模型(スタディ模型)とデジタル3Dレンダリングを作成しました。デザインの確定後、施工フェーズへと移行しています。
本プロジェクトは、設計・施工の技術的スキルを強化しただけでなく、「ユーザー中心設計(User-Centered Design)」や「参加型デザイン(Participatory Design)」の重要性を強く再認識させるものとなりました。学校のコミュニティと直接関わりながら進めた経験を通じ、機能的であり、かつ利用者にとって意味のある空間をデザインすることへの理解が深まりました。
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施工プロセス (Construction Process)
1. 材料調達 (Material Procurement)
環境に配慮し、かつ子供たちが触れても安全な素材を選定・調達しました。
2. プレカット・仮組み (Fabrication)
グルノーブル大学のラボにて、レーザーカッター等の様々な工作機械を用い、実寸(1:1)での部材の切り出しおよび仮組み(プレアッセンブリー)を行いました。
3. 現場施工 (On-Site Assembly)
チーム一丸となって構造物の組み立てと設置を行い、最後に安全性のテストと調整を実施しました。
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プロジェクトの振り返り (Reflection)
本プロジェクトは、設計・施工における技術的なスキルを向上させただけでなく、「ユーザー中心設計(User-Centered Design)」や「参加型デザイン(Participatory Design)」の重要性を強く再認識させるものとなりました。
学校コミュニティと直接関わりながら進めた経験を通じ、単に機能的であるだけでなく、利用者にとって真に意味のある空間をいかにデザインするか、その理解を深めることができました。
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03. 筑波大学の平砂学生寮 改修・増築 ― 柔軟な学生住居のためのデザイン
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本プロジェクトでは、学生宿舎「平砂10号棟」を対象に、実現可能な改修および増築計画を提案しました。
既存建物は、直線的な廊下に沿ってコンパクトな住戸ユニットが反復し、特徴的なジグザグ形状のファサードを持つ構成でした。本提案では、この場所に蓄積された学生たちの記憶を継承するため、建物の象徴である「ジグザグのリズム」を保存しています。
その一方で、内部レイアウトは現代の学生生活に即して再構成しました。個室ユニットは学習と睡眠に集中できるよう効率的に配置し、シェア住戸(スイート)はプレハブ化された水回りコア(Sanitary Core)の周囲にまとめる計画としました。これにより、設備コスト(MEPコスト)を削減しつつ、学生同士の交流(ソーシャル・リビング)を促進します。
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主要戦略 (Key Strategies)
1. コモンスペースの創出
ジグザグ形状のプランによって生まれる窪み(アルコーブ)を活用し、軽量構造による部分的な増築を行うことで、学生たちが集える「コモンスペース」を創出しました。
2. 専用ベランダと採光
コーナーウィンドウを持つ専用ベランダを設けることで、採光を確保すると同時にプライベート空間を拡張しています。
3. 段階的な施工計画
工事に伴う居住者(学生)の一時退去や移動を最小限に抑えるため、段階的な施工(フェーズ分け)を採用しました。
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各種パース
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04. 駒場・大塚を緩やかにつなぐ「コモン」再編計画
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Concept-「間」のデザイン
筑波大学附属駒場中高と附属大塚特別支援学校は近接しつつも、日常的な接点が限定的。
双方が同じ場所で「学び、育つ」ためには、直接的な混在だけでなく、互いの存在を心地よく感じられる関係のデザインが必要と考えました。
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各種プラン図
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各種プラン図
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05. DEAD OR ALIVE: RE-WEAVE貝島百代(ATELIER BOW-WOW)
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デジタル水戸プロジェクト
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プロジェクト概要と背景
本プロジェクトは、水戸芸術館の企画展にて発表された、包括的な「都市リサーチ」および「デジタル・ドキュメンテーション(記録保存)」の取り組みです。
研究の中核となる『水戸空間ガイド2023』では、2004年のオリジナル調査で対象となった48物件を再訪・再調査することで、過去20年間にわたる水戸の都市景観の変化を記録しました。
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私は「Aエリア・チーム」の一員として参加し、先進的なデジタルツールを駆使してメタバースによる没入体験を構築。水戸の都市構造(アーバン・ファブリック)が遂げた20年間の変容を分析・アーカイブし、再解釈することを目指しました。本展は、フィールドワーク、参加型ワークショップ、そしてデジタルモデリングを統合することで、専門家だけでなく一般市民をも巻き込み、都市の変化とその可能性を共有する場となりました。
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プロジェクト概要
デジタル水戸プロジェクトは、高精度の「3Dスキャン」と「フォトグラメトリ」技術を融合させることで、刻々と変化する水戸の建物、道路、広場をデジタルアーカイブ化したものです。これにより、ユーザーが水戸の文化的景観の中での一日を「追体験(Relive)」できる環境を構築しました。
また、水戸芸術館の広場とその周辺を対象に、VRヘッドセット、スマートフォン、PCでの動作に最適化(軽量化)した3Dモデルを作成。このバーチャル空間は、筑波大学とグルノーブル大学による国際デザインワークショップの会場としても活用されました。
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06. Collection of undergraduate selected works ― 水彩による色彩研究と史跡の記録
本プロジェクトでは、イラン・タブリーズの史跡「ブルーモスク(Blue Mosque)」の記録を通じ、色彩理論と水彩技法の修練を行いました。
講義では、正確な混色や色相環における色彩の関係性、そしてウォッシュ(にじみ)・エッジの処理・筆致(ブラシワーク)のコントロールに重点が置かれました。
現地調査においては、レンガ造のヴォールト、ムカルナス(鍾乳石飾り)、タイルのカリグラフィー、幾何学模様といった内外の意匠を詳細に観察。
多様な素材に落ちる光と影を捉え、現地の空気感やトーンを忠実に表現することに努めました。
また、建物の比例やアーチの形式を幾何学的に分析することで、正確な構造理解に基づいたスケッチを行っています。
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ヴァルゼガン市文化複合施設および避難拠点の設計 ─ 災害時の緊急居住アプローチに基づく卒業設計 ─
東アゼルバイジャン州は、長年にわたり地震による甚大な被害を受けてきた地域です。
たとえ地震の規模自体は大きくなくとも、建物が適切な耐震基準で建設されていない場合、深刻な倒壊被害をもたらすリスクがあります。
加えて、この地域には公共空間が圧倒的に不足しているという都市的な課題も抱えている。
以上の背景から、高い地震リスク(Seismicity)と文化施設の需要を併せ持つ「ヴァルゼガン(Varzeqan)」を、本卒業設計(または研究)のケーススタディ対象として選定した。
本提案では、この地震多発地域において「フェーズフリー」な複合施設を計画する。平常時は市民のための「文化ハブ」として機能し、災害時には避難所、宿泊施設、医療ケア、救援活動の拠点へと機能転換(コンバート)が可能である。
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ご覧いただきありがとうございました。