公開日:2023年5月1日
(更新日:2023年6月27日)
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毎年5月1日は労働者の祭典であるメーデーです。その起源は1886年、当時12~14時間労働が当たり前だったアメリカのシカゴ。「1日8時間労働」を要求した労働者たちによるゼネラル・ストライキが起源となっています。その後、8時間労働制は欧米各国で浸透していき、日本の場合も1947年に施行された労働基準法で定められることになりました。
労働基準法ができたばかりの頃の基準は「1日8時間、週48時間」でしたが、1987年には「1日8時間、週40時間」の法定労働時間に移行。そして2019年の改正では「特別条項付き36協定」の労働時間(残業)に上限が設けられました。
5年間の猶予がある建設業界でも、2024年から上限規制がスタートします。施行までに、企業はどのような改善・対応をしていくべきなのでしょうか?
法改正で変更になる残業時間の上限
労働基準法第36条で「1日8時間、週40時間」と定められている労働時間。それを超える場合は「36協定」を結ぶことで「月45時間、年360時間」までの残業が可能です。そして、2019年4月の法改正までは「特別条項付き36協定」を締結することで上限を越えた残業が可能になっていました。
労働時間(残業)の上限について、長時間労働の早急な解決が難しい建設業界では、開始まで5年の猶予が設けられていますが、2024年4月にはいよいよ規制が開始となります。適用される残業時間の上限は、下記の通りです。
<1>時間外労働の上限は年720時間
<2> 1ヶ月の時間外労働が45時間を超過するのは、年に6回まで
<3>時間外労働と休⽇労働の合計は月100時間未満にする
<4>時間外労働と休⽇労働の合計を「2ヶ⽉平均」「3ヶ⽉平均」「4ヶ⽉平均」「5ヶ⽉平均」「6ヶ⽉平均」すべて、1ヶ月あたり80時間以内に抑える
建設業では、災害時の復興・復旧の事業を行う時のみは例外として、<3>と<4>の規制が撤廃され、<1>と<2> の規制だけが適用されます。万が一、上限規制に違反した場合は、6ヶ⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦が科される恐れがあるためご注意ください。
上限規制に向けて対応、改善すべきこと
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【適切な工期を設定】
建設業界では、工期が短いと残業が発生する原因になります。資材・機材調達や労務などの準備期間、現場の後片付け期間、作業ができない日数(雨・雪・出水期など)、現場で働く社員の休暇(週休2日)などを考慮したうえで、残業を軽減できる工期を設定しましょう。
元請と下請の間で、着工前の工程表の確認や、工事の進捗状況の共有などをすることも重要。予定の期日に完了するのが難しくなった場合は、工期を変更できるよう取り決めをしておくことも大切です。
【働きやすい職場にし、人材不足を解消】
人材不足で労働時間が長くなっている場合は、社員を増員しましょう。求職者から選ばれる企業になるためには、週休2日制などを採用し、ワークライフバランスを整えることが大切です。
能力で正当に評価する制度を設けて、スキル・経験に応じた給与や待遇を用意することも重要。社会保険の加入や退職金制度の導入も進め、長く働きやすい環境を整備することで、優秀な人材が集まりやすくなります。
【生産性を向上させる】
「ワークライフバランスが整った職場」「働きやすい環境」は、高い定着率にもつながり、スキルアップした社員が流出してしまうのを防ぐことができます。社員の技術が向上すれば作業スピードが速くなり、労働時間の短縮にも効果が現れることでしょう。
また、申請手続きや書類の作成、設計、施工、積算、人材育成など幅広いシーンでICT(情報通信技術)を活用することで、業務の効率を高めることができます。
【勤怠管理を徹底】
勤怠管理システムを活用することで、社員の勤怠をしっかりと把握・管理でき、労働時間の上限の超過を防ぎやすくなります。GPS打刻、スマホやタブレットでの打刻、自動集計、工数管理などができる勤怠管理システムを導入すると、管理がスムーズになるでしょう。
スマホやタブレットで打刻できると、直行・直帰の日も、日報や電話、メール、LINE、ビジネスチャットなどで勤怠を伝達する手間を省くことが可能です。自動集計の機能があれば、全社員の残業時間を把握しやすくなります。
日報やタイムカードなどから転記する必要がないため、管理にかかる時間や入力ミスも軽減できます。帳簿の記載や給与計算が自動集計と連携していれば、事務作業の時間や負担も減らせるはずです。
勤怠管理システムで工数管理もできるようになれば、各社員の勤怠状況と現場の情報をリンクさせた調整ができます。GPS打刻は位置情報がわかるため、出退勤の時間を偽る不正の防止にも役立つことでしょう。
人材を確保し定着率を高めよう
無理のない工期を設定したり、作業効率や生産性を高めたりすることで、残業時間は短縮できるはず。建設業界では人手不足が従来から問題となっており、2024年問題に向け人材の確保も急務です。スキルの高い求職者から選ばれる企業になるために、週休2日制や実力に応じた正当な評価など、働きやすく定着率が高まる職場環境を整えていきましょう。
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