公開日:2023年11月29日
(更新日:2025年9月26日)
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インテリア・建築業界の採用活動で、自社に適した人材を見極めるためには、求職者が絶対に譲れない価値観や志向性を把握することが大切です。求職者のニーズを知るツールとしては、働き方の軸となるキャリアアンカーの考え方が役立つでしょう。
全8タイプのキャリアアンカーとは?
キャリアンカーとは、アメリカの心理学者エドガー・シャイン博士が提唱したキャリア理論。キャリアを選ぶうえで1番重視している価値観、どうしても譲れない事柄を8タイプに分類しており、各人がどれか1つに当てはまるとされています。
【1】専門・職能別タイプ
得意分野の能力を伸ばし、エキスパートや権威を目指すタイプ。挑戦を続けて地道にスキルアップし、高い生産性を実現できる性格です。インテリア・建築業界においても研究職や専門職、技術職が向いているでしょう。
【2】管理能力タイプ
経営者、リーダー、マネージャーなど、管理職としての出世を志す性格です。組織の期待に応えようと資格取得などにも意欲的。責任のある立場を担うことに価値を見出し、組織全体の成果にも敏感でしょう。
【3】自律・独立タイプ
ルールや場の空気に縛られず、自分のやり方で自由に仕事を進めたいタイプ。フリーランスや成功報酬型の業務などが適職です。インテリア・建築業界においも自由度の高い環境を求めるでしょう。
【4】保障・安定タイプ
安定した給与、手厚い福利厚生、変化の少ない環境、終身雇用を望むタイプです。適した職としては公務員や大企業の社員などが当てはまります。危機管理能力に長けるため、リスクを回避することが重要な業務にも向いているでしょう。
【5】起業家的創造性タイプ
起業や開発にやりがいを見出すタイプです。「自身のアイデアを活かしたい」といった志向があり、クリエイティブな発想が求められる業務に適しています。新規プロジェクトの立ち上げなどでも高いパフォーマンスを発揮するはずです。
【6】奉仕・社会貢献タイプ
報酬や地位よりも社会貢献を重視するタイプ。医療、福祉、教育に関わる仕事が向いているとされ、インテリア・建築業界においても世の中に役立つことを重視する企業で力を発揮します。奉仕の精神を持っているため、誰かをアシストするような業務も適任でしょう。
【7】純粋な挑戦を求めるタイプ
誰も成し遂げていないような物事に挑戦することを好む冒険家。解決の難しい問題に取り組むなど、チャレンジ精神を刺激する業務を求めているでしょう。自分の限界に挑戦し続ける性格のため、ハードワークにもしっかりと取り組む傾向があります。
【8】ワークライフバランス重視
プライベートを大切にできる柔軟な働き方を求めており、残業が少なく有給休暇の取得率が高い職場や、産休・育休・介護の休業制度が整った会社を好みます。仕事と日常生活を両立させることができる環境では、長きに渡り安定したパフォーマンスを発揮するでしょう。
採用の現場でのキャリアアンカー活用法
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以上のような8タイプのキャリアアンカーは、エドガー・シャイン博士が開発した40問のシンプルな質問から診断可能であり、日本語に翻訳されたものの多くがインターネット上で無料公開されています。キャリアアンカーの考え方を参考に「求める人物像」を具体化し、求人票に反映するだけでも、組織と求職者のミスマッチが生じにくくなるはずです。
面接における質問内容に「キャリアや生活で1番大切にしていること」「5年後までに達成したいキャリアと、それを実現するために重視すること」など、キャリアアンカーの考え方を組み込むことで、人材を見極める判断基準にもなるでしょう。
キャリアアンカーは価値観を分類するツールのひとつ
キャリアアンカーは、職業や役職を決定するための指標ではなく、あくまで仕事上で譲れない本質を知るためのツールです。しかしながら求職者の価値観を企業側が知ることは、求める人物像に合致する人材を採用する大きな助けとなります。キャリアアンカーの考え方を有効活用してエンゲージメントを高めれば、定着率アップにも結びつくはずです。
FAQ:採用でのキャリアアンカー活用についてよくある質問
Q1:採用面接で求職者のキャリアアンカーを見極めるには、具体的にどのような質問が有効ですか?
A:「5年後までに達成したいキャリア」や「仕事において最も大切にしている価値観」など、求職者の中長期的な視点や仕事へのスタンスを問う質問が有効です。それに加え、「どのような業務にやりがいを感じますか?」といった過去の経験を深掘りする質問を重ねることで、求職者が8つのどのタイプに当てはまるかを判断する基準になります。
Q2:インテリア・建築業界の採用では、どのキャリアアンカーのタイプが特に求められますか?
A:特定のタイプだけが求められるわけではなく、企業の文化や募集する職種によって様々です。例えば、専門スキルを追求する設計職なら「専門・職能別タイプ」、新規事業開発なら「起業家的創造性タイプ」が適しているかもしれません。大切なのは、自社が求める人物像と求職者のキャリアアンカーが一致しているかを見極めることです。
Q3:求職者自身がキャリアアンカーを把握していない場合、採用側はどのように判断すれば良いですか?
A:面接時に直接診断を行う必要はありません。これまでの職務経歴や実績について、「なぜその仕事を選んだのか」「どのような工夫をして成果を出したか」といった具体的な質問を通じて、その人の行動の源泉にある価値観を探ることが重要です。本人が意識していなくても、一貫した価値観が見えてくるはずです。
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