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求人票への記載も義務。改めて確認しておくべき固定残業代制度の基本

求人票への記載も義務。改めて確認しておくべき固定残業代制度の基本 画像素材:PIXTA

建設業や運送業では、労働時間の上限規制が猶予されてきましたが、2024年4月からいよいよ規制が適用に。上限規制の開始にあたり、固定残業時間について再確認したうえで、従業員が所定の労働時間を超えないよう徹底管理していく必要があります。そこで今回は、固定残業代制度とみなし労働時間制の違いや、求人票などへの固定残業代の記載例、時間外労働の上限を延長できる36協定と特別条項付き36協定について解説します。

固定残業代制度とは?

固定残業代制度は、定められた残業時間分の定額を、手当や給与の一部として毎月支給する制度です。定められた時間より残業が少なかった月も定額を支払う必要があります。また、残業が定められた時間を超過した分の金額は追加で支給するのが基本です。

固定残業代制度は、「みなし残業代制度」とも呼ばれており、みなし労働時間制と混同しやすいのでご注意ください。

一方、みなし労働時間制とは、主に外回りやリモートワークなどが多く、会社が実労働時間を把握しにくい働き方の社員に適用する制度です。実際の労働時間分ではなく、予め決めた1日の労働時間分の賃金を支払うため、例えば所定の労働時間が1日8時間の場合、実労働時間が7時間でも、8時間分の賃金を支給します。この場合、所定の労働時間を超過した分は別途で支払う必要はありません。たとえば10時間働いた時も支給するのは8時間分の賃金です。

固定残業代は求人票に記載するのが義務

固定残業代制度の時間や金額など内容は、雇用契約書や就業規則などで通知したうえで従業員の合意を得る必要があり、求人票への明示も義務付けられています。固定残業代制度について明記する具体的な内容や記載例は、下記の通りです。

【固定残業代制度で明記すべき内容】

  • 固定残業代で定めている労働時間数とその月額
  • 固定残業代を含めない基本給の金額
  • 時間外労働が固定残業時間を超えた場合や、深夜・休日の労働には追加で割増賃金を支払うこと

【求人票の記載例】

<1>
■基本給/月額20万円

<2>※下記のどちらかを記載
■給与には30時間分・5万3,000円の固定残業代を含みます。
■残業手当を支給(時間外労働の有無や時間数に関わらず、30時間分・5万3,000円の時間外手当を支給します)

<3>
■時間外労働が30時間分を超えた場合は、追加で割増賃金を支給します。

固定残業代の内容が従業員に正確に伝わらなかった場合、会社と従業員の間で問題が生じてしまう恐れもあるのでご注意ください。過去には、最初の勤務日からすべての残業代を従業員に支払うよう裁判所から命じられたケースもありました。トラブルを回避するためにも、固定残業代について従業員や求職者にしっかりと周知しましょう。

36協定や特別条項付き36協定の締結で時間外労働の上限を延長

求人票への記載も義務。改めて確認しておくべき固定残業代制度の基本 画像素材:PIXTA

法定労働時間の上限は1日8時間・週40時間ですが、36協定を締結することで時間外労働の上限を月45時間・年360時間へと延長できます。さらに、特別条項付き36協定を結んでいる企業では、時間外労働の上限を下記の通り延ばすことが可能です。

特別条項付き36協定で可能になる時間外労働の上限

  • 年6回までは時間外労働が月45時間を超えてもOK
  • 1ヶ月の時間外労働の上限は100時間未満
  • 2ヶ月~6ヶ月の時間外労働の平均は月80時間以内(休日労働を含む)
  • 1年間の時間外労働の上限は720時間以内
  • 固定残業代制度の所定時間を決める際には、必ず時間外労働の上限を考慮したうえで設定しましょう。36協定で規定された時間外労働の上限を超えて従業員を働かせると、刑事罰の対象となり30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役が科される恐れがあります。従業員の理解不足や会社の管理不行き届きが原因で上限を超えてしまうことがないよう、勤怠管理を徹底するなどくれぐれもご注意ください。

    固定残業時間は月45時間以内に抑える努力を

    一般的に、固定残業時間は45時間以内に抑えることが望ましいでしょう。ワークライフバランスが重視される近年は、残業を減らす努力をしたりノー残業デーを設けたりする企業が増加しています。求人票に記載されている固定残業時間が長いと、求職者から「残業が多くて働きにくい職場」だと思われ敬遠されかねません。企業のイメージを損ねないためにも、適切な固定残業時間となるよう改めて見つめ直したうえで、採用活動を進めていきましょう。

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