公開日:2024年10月9日
(更新日:2024年10月9日)
画像素材:PIXTA
人間関係のもつれなどが原因で退職を考えている場合、自分からは会社に言い出しにくいもの。辞めたい意向を代わりに伝えてくれる退職代行サービスの利用者が、建築業界でも年々増えています。退職代行とはどのようなサービスで、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?今回は、退職代行サービスを利用するメリット・デメリットについて触れつつ、転職活動での役立て方についてご紹介します。
退職代行とはどんなサービス?
仕事を辞める方の代わりに、退職の意思や連絡事項を業者が会社に伝えて交渉や協議をするサービスです。退職代行を請け負っているのは主に、弁護士事務所や民間企業、労働組合など。提供するサービス内容は運営業者ごとに異なりますが、退職代行の対応範囲は一般的に、未払い金・退職金・損害賠償の請求、源泉徴収票や離職票の取り寄せ、条件交渉、退職に必要な事務手続きなどです。
退職代行のメリットは?
退職代行サービスを利用することで得られる主なメリットを3つ紹介します。
■会社に自らコンタクトをとる必要がない
人間関係のトラブルやパワハラなどが原因で退職する場合は、会社と直接やり取りするのがストレスになってしまうはず。退職代行を利用すれば、運営業者が代わりに会社と連絡を取り合い退職の手続きを進めてくれます。退職者が直接顔を合わせて話をすると「プロジェクトの途中だから」などの理由で、上司や会社から「もう少し働いてほしい」とお願いされてしまう可能性もありあますが、退職代行が間に入れば引き留められることもありません。
■辞めたいタイミングですぐに退職できる
建築業界は「担当プロジェクトが完了するまでは続けなければ」という責任がある一方で「すぐにでも辞めないと心身に支障をきたす恐れがある」という状況に陥ってしまうケースもあることでしょう。そんな時に退職代行を利用すれば、退職の意向を運営業者が会社に伝えてくれるため、プロジェクトの途中で辞めることへの精神的な負担が軽減します。
■未払い金や退職金の支払い交渉をしてもらえる
金銭の問題に個人で対応するのは難しいもの。弁護士事務所や労働組合の退職代行であれば、多くの場合は未払いの給与・残業代や退職金を会社に請求するサービスも利用できます。
退職代行のデメリットは?
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退職代行サービスにはデメリットもあるため、本当に必要かよく考え、業者選びも慎重に行いましょう。具体的には以下のようなデメリットがあります。
■費用がかかる
自分で退職を申請すると料金はかかりませんが、退職代行サービスを使えば費用が発生します。相場は、運営業者が民間企業の場合は1万円~5万円、労働組合は2万5千円~3万円、弁護士事務所は5万円~10万円。民間企業は低価格な分、実施できるサービスが少なく、弁護士事務所は幅広いサービスに対応しているだけあり高額です。
民法第627条では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。」とされています。会社の就業規則より民法が優先されるため、本来は退職届を会社に出した時点から2週間後には退職できるのです。退職届は内容証明郵便で送ることも可能なため、辞める意向を伝えるサービス以外は利用する必要がないなら、費用をかけてまで退職代行を使うべきなのか熟考しましょう。
■弁護士がいない業者は、未払い賃金の請求など対応できないサービスがある
法的な権利の主張や交渉は弁護士でないとできないため、弁護士がいない業者は、未払い金・退職金の請求や有給休暇の消化を交渉できません。規定の条件をクリアすることで支給されるボーナス(業績連動型ボーナスなど)は、退職代行を利用すると支給されない可能性も。弁護士が不在の業者だと、支払い交渉できないまま退職になってしまうケースがあります。
■損害賠償を請求される恐れや懲戒解雇のリスクも
退職代行を使うと、退職の手続きを会社に放棄され無断欠勤扱いされてしまう場合があります。無断欠勤が続いた結果、懲戒解雇となるケースもあり、注意が必要です。また「急に辞めたことで不利益が生じた」「勤務態度が悪かった」などを理由に挙げ、退職者に会社側から損害賠償が請求されてしまうことも。万が一の事態に備えて、法的な手段にも対応できる業者に代行を依頼しましょう。
■会社から必要な書類を送ってもらえないケースもある
退職代行を通すと、嫌がらせのために必要書類(健康保険資格喪失証明書や離職票など)を故意に送らない会社もあります。ただし、書類の請求を行ってくれる退職代行もあるため、サポートできる範囲を細かく確認したうえで業者を選びましょう。
■会社が退職者に直接連絡する可能性がある
会社と直接やり取りせず辞められるのが退職代行のメリットですが、会社がダイレクトに退職者へ連絡してしまう恐れがあります。業者はたいてい「退職者には連絡しないでください」と伝達しますが、会社としては、退職意思の真意や機密情報など本人にしか確認できないことがあるからです。退職代行を使ったから安心とは言えず、会社から自宅や実家に電話がかかってくることや上司が自宅に訪問してくる可能性もあることを、覚悟しておかなければなりません。
退職代行サービスを転職活動に活かそう
退職には多大なエネルギーを使いますが、代行サービスを利用することでストレスから解放され、再就職へのモチベーションを維持しやすくなります。退職代行のなかには、転職のサポートを行っている業者もあり、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などをカバーしてくれることも。賢く利用して次のステップへと進みましょう。
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