公開日:2019年8月28日
(更新日:2023年6月27日)
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建物の設計や工事監理を行う職業・建築士。建築士というと男性が多いイメージですが、女性にも「建築士になりたい」と夢を掲げる人は数多くいます。今回は女性ならではの仕事の悩み、発揮できる能力など、女性建築士にまつわる情報をまとめてお届けします。
一級建築士の合格者4人に1人が女性と過去最高の割合に
これまでは“男の職場”といわれてきた建築士業界ですが、近年は女性建築士も増えています。男女の雇用の均等化、女性活躍推進のために国土交通省と建設業5団体がタッグを組み 、「
もっと女性が活躍できる建設業行動計画」として、2014年以降さまざまな取り組みを行っています。建設業界で活躍する女性技術者・技能者を“けんせつ小町”と名付け、業界全体で女性の活躍促進に力を注いできました。
こうした試みが徐々に成果を見せるようになり、現在、女性建築士が目覚ましい活躍を見せています。2017年には一級建築士合格率は「4人に1人が女性」と過去最高をマーク。建設系の他の資格でも合格者における女性の割合は上昇しているとされています。
女性ならではの大変さはある?
建築士の仕事は定時で終わらないことも多く、時には残業や徹夜をすることもあります。特に締め切り前は過酷で、タフな体力と精神力が必要です。一般的に男性のほうが体力があるため、長時間にわたる仕事は女性にとって辛いところ。周囲にサポートをお願いすることも大切です。
また、女性が増えてきたとはいえ、まだまだ男性のほうが多い業界です。特に職人はほぼ男性のため、現場で統率を取ることに苦労することもあるかもしれません。しかし、「良い建築物を作りたい」という目標は誰もが一緒です。周囲の人たちの気持ちを汲み取りながら、時には頼って、仕事を進めていきましょう。
結婚、出産、子育てとの両立は?
結婚、出産などのライフイベントや育児や介護との両立がキャリア成形にどれくらいの影響を及ぼすかは、女性にとって一番心配なことではないでしょうか。特に出産を機に退職してしまった場合は、それまで積み上げてきたキャリアがリセットされてしまう場合も決して少なくありません。
女性にとっては何かとナーバスになってしまう話題ではありますが、「ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる環境を整備するよう」、官民一体となって働きかけています。そのため、産休制度、育休制度、時短制度など、仕事と家庭を両立するための制度の導入・活用が広がっています。
国土交通省の「
建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査」によると、継続就業に関する制度の導入状況は、「産前・産後休業制度を設けている」が94.5%、「育児休業制度を設けている」が86.8%、「介護休業制度を設けている」が82.3%と比較的高い数字になってきています。中には「結婚・出産に対応した再雇用制度がある」(14.3%)会社も。
実際に育児と両立をしている女性の一級建築士に話を聞いたところ、「制度に不満はなく、忙しいときはハードではあるが充実している」とのことでした。
会社によって方針はそれぞれで、勤め先の形態によっては家族に負担がかかる場合もあります。実績のある場合は思い切って独立・開業を視野に入れるというのも、選択肢のひとつです。両立や産休などに不安がある場合は早めに周囲や会社に相談しましょう。
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女性建築士ならではの腕の見せ所
女性建築士ならではの腕の見せ所は、実はたくさんあります。
■子育てにぴったりの間取りや、機能重視の家事動線の提案
建築士への依頼のなかで最も多いとされる戸建住宅の設計には、主婦の目線を持つ女性建築士が求められることが多くあります。
■きめ細やかな対応
男性に比べ、女性の建築士のほうが些細な質問も聞きやすく、打ち合わせがしやすいという声があります。
■女性ならではの感性や色彩感覚
居心地の良さや空気感など、クライアントの言語化しにくい希望を女性ならではの感性、色彩感覚で空間に活かすことができます。
今後さらに環境が整備されていくであろう建築業界。少しずつ変わっていくことで、女性建築士にとっても、男性建築士にとっても、より生き生きと働ける場所になっていくでしょう。
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