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建築物のデザイン・設計に役立つ「BIM」とは? 3D CADとの違いや対応ソフトを紹介

画像素材:PIXTA
建築物をデザイン・設計する際、実際の作業をはじめる前に、パソコン上でイメージを制作することになります。このイメージ制作にはさまざまなデジタルツールが活用されていますが、中でも今、特に注目されているのが「BIM」です。どんなツールなのか、対応ソフトも併せてご紹介します。

BIMとは何か?

BIMとは「Building Information Modeling」の略称で、コンピューター上に現実と同じ建築物の立体モデルを構築できるツールです。建築物のイメージをつくる際、平面図を作成後にパソコンを使って立体化させることが一般的ですが、「BIM」は最初から3次元モデルで建物のイメージを設計できるため、立体化させる手間がなくなり、作業時間の短縮が可能となっています。

さらに、建築物のモデルをつくった際に、そのデザインだけでなく、家具や建具のサイズ・性能・素材・重量、資材の単価、施工の順序など、さまざまなデータを併せて集約することができます。設備機器には価格やメーカー名、品番などの情報も加えられるため、資材管理にも活用できる優れたシステムです。

BIMと3D CADにはどんな違いがある?

建築物の立体イメージをつくるツールには、BIM以外にも3D CADがあります。この二つを混同してしまっている人もいるのではないでしょうか。どんな違いがあるのかを見てみましょう。

まず、3D CADを活用する場合、2次元の図面を作成してから、3次元の形状に組み立てる必要があります。また、3次元に組み立てた後で修正が入ると、2次元の図面から直さなければならず、手間がかかってしまうのが難点です。

一方BIMは、最初から3次元で設計でき、3次元の図面を基に2次元の図面を切り出すことも可能です。また、データを修正すると、各種図面や数量表、面積表、パースなどもすべて自動で変更され、整合性が保たれます。3D CADに比べると、スムーズなデータ作成、管理ができるようになっていることがわかります。

まだまだある! BIM活用のメリット

スムーズに3次元の立体モデルや2次元の図面作成ができ、メリットが多いと感じられるBIM。ほかにも、以下のようなメリットが考えられます。

■シミュレーションを設計初期から実施できる
照明を取り入れたらどうなるか、窓から風や光がどの程度入ってくるかなど、細かなシミュレーションを設計の初期から実施できるため、早い段階で課題点を見つけ、修正することができます。これらのシミュレーションは基本的に環境解析を専門的に行っている企業へ依頼する必要があるものの、BIMであれば自分ですぐに行うことが可能です。

■資材の数量の把握や見積もりの算出が可能に
BIMでつくる建築物イメージには、使う資材のデータも併せて入力することができます。そのため、必要な資材の数量をすぐに把握できるほか、単価がわかれば、おおまかな工事費用の見積もりも算出できるようになります。

■他の事業者や発注者に説明しやすい
施主や施工会社に建築物のモデルを説明する際、2次元の場合は設備図・平面図・展開図・矩計図など複数の図面を見てもらう必要があります。建築物を具体的にイメージするためには、頭の中でそれらの図面を組み合わせてもらわなければならず、認識のズレが生じることも珍しくありません。その点、BIMは立体モデルを実際に見ながら説明できるため、施主や施工会社と共通したイメージを持つことができます。

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代表的なBIM対応ソフトを紹介

BIMに対応しているソフトはさまざまなものがあります。ここでは日本国内で提供されている、代表的なソフトをいくつかご紹介しましょう。

■ARCHICAD 23
建築物の要となる梁や柱について、鉄筋コンクリート、木造、鉄骨など多様な種類のデータを搭載。複雑な構造やデザインの建築物でも、ARCHICAD 23を活用することで、完成度の高い設計図をつくることができます。

■Revit
一つの建築物のデータに関して、外部設計や内部設計、設備設計、家具レイアウト設計など、細かくセクションを分けることができ、各担当者が並行して作業できるようになっています。社外スタッフと共同で作業することも可能です。

■Vectorworks
建築・内装業者向けの「Architect」、照明デザイン向けの「Spotlight」、ランドスケープのデザインに適した「Landmark」、建築・照明・土木をはじめ幅広い設計やデザインに対応する「Designer」の4種類があり、作業内容に応じてソフトを選べるのが特徴。IllustratorやPhotoshopなどと連携を取りやすくなっています。

建築デザインや設計を行う企業では、採用条件としてBIM使用のスキルを必須としている場合も多いです。逆に、既に利用歴がありスキルが身についている場合は就職・転職に有利になることもあります。しかし、主に使用するツールは企業により異なりますので、自身の目標やキャリアを軸にどのツールを習得すべきか見極めることが重要です。

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