公開日:2021年1月5日
(更新日:2023年6月27日)
世界には有名な建築物が数多くあります。国内だけでも相当数あり、建築業界を目指している人の多くが「あれもこれも見に行ってみたい」と考えているのではないでしょうか。そこで今回は、数ある建築物のうち国内の代表的な建築を5つ紹介。名建築のデザインや設計の特徴を見てみましょう。
新国立競技場(隈研吾)
2019年11月30日竣工、言わずと知れた建築家隈研吾氏が設計の新国立競技場。当初のザハ・ハディド案が白紙撤回となり、再コンペの末、大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所が手掛けることとなりました。
「アスリートファースト」「世界最高のユニバーサルデザイン」「周辺環境等との調和や日本らしさ」などを掲げ完成したのは、国産の木材をふんだんに取り入れた「杜(もり)のスタジアム」。もっとも印象的なのは、スタジアム外周を360度囲む国産木材を使った軒庇(のきひさし)です。
木材は47都道府県から調達し、北には北海道などそれぞれの都道府県の木材を、それぞれの地域が所在する方位に合わせて使用するというこだわりよう。見た目に美しいだけでなく、日差しや風通しなどの暑さ対策としても効果的です。建物内のラウンジやテラス、展示空間の壁や天井、屋外のベンチなど随所に木材が使われており、古くから木造建築を伝承してきた日本らしさが存分に表現された建築物といえます。
画像素材:PIXTA
国立代々木競技場 第一体育館(丹下健三)
1964年竣工。同年開催の東京オリンピックの会場として建てられた国立代々木競技場は、建築家の巨匠・丹下健三氏の代表作の一つでもあります。第一体育館、第二体育館、室内プールを備える付属棟で構成されています。
第一体育館は、世界でも珍しい吊り屋根式、無柱で観客席と競技場との一体感を感じられるつくり。外観はゆるやかながらもダイナミックな曲線が印象的。まるで宇宙船のようにも見えます。鉄、ガラス、コンクリートなどの当時としては新しい材料を用いた"モダニズム建築"で、戦後の高度経済成長期を象徴する近代建築です。
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水の協会(安藤忠雄)
日本を代表する建築家の安藤忠雄氏が手掛けた星野リゾートトマムの「水の教会」。自然との共生をテーマに設計されました。「光の教会」(大阪)、「風の教会」(兵庫)と共に教会三部作の一つといわれています。安藤建築特有のコンクリート打ち放し、余計なものを取り除いたミニマルなデザインが特徴的。シンプルなだけに、周囲や隣接した湖や緑が美しく、また、建物との一体感も感じられます。見学の他、結婚式場として利用されています。
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ラムネ温泉(藤森照信)
有機素材を使った建築で知られる藤森照信氏が手掛けた「ラムネ温泉」。大分県・長湯温泉にある温泉施設です。絵本に出てきそうなメルヘンチックな建物は、温泉とは思えない可愛らしさ。一目見て心が和むようなデザインとなっています。外壁は焼杉と漆喰のストライプ。屋根には手捻りの銅版が張られ、頂上には松の木がそびえています。
白黒のコントラストが美しいだけでなく、焼き杉は杉の表面を炭化させることで腐食を防ぐ効果も。漆喰は抗菌、防カビ、消臭効果、湿度調整があるなど、機能面でも優れています。松は厳しい環境に強く長寿のシンボルとされ古来よりアジアで大切に扱われてきたことから「ラムネ温泉が長く栄えるように」と祈りを込めて塔のてっぺんに植えたそう。写真で見ているだけで温かみが伝わってくる建築物です。
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前川國男邸
戦前・戦後の日本のモダニズム建築のパイオニア・前川國男氏の自邸です。建築されたのは1942年。もともとは、目黒駅近くの東京都品川区上大崎にありましたが、解体され東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」内に復元・保存され、現在も園内で見学することができます。
戦時体制下、建築資材の入手が困難な時期に竣工され、 外観は切妻屋根の和風。吹き抜けのリビング、書斎、寝室とシンプルな間取り。過度な装飾はないものの半世紀以上も前の建物とは思えないほどスタイリッシュな内装です。室内は一見洋風ながらも障子が使われているなど和の趣も感じられます。有名建築家の邸宅というだけでも興味が湧きますが、外観と室内の印象の違いやインテリアなどが見どころです。
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国内にある有名な建築物は、どれも見応えがあるものばかり。機会があればぜひ足を運び、巨匠たちの素晴らしいデザイン技術を見て学んでみてはいかがでしょうか。
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