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建築業界の仕事の一つ、構造設計とは? 担当する建物の構造種別や求められるスキル

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一口に「建築」と言っても、設計の仕事は細かく分業化されています。今回は建物の構造設計業務を担当する「構造設計者」の仕事を解説します。

構造設計とは?

建築設計には、大きく分けて「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの仕事があります。意匠設計は建築の間取りやデザインにおける設計、設備設計は建築の内部の必要な設備(空調、音響、光、配管など)を設計する業務のことです。

構造設計は、建物の土台と骨組み(柱、梁、壁、床などの構造部材)を「どのように配置するか」を考える仕事のこと。担当者を「構造設計者」のほか、「構造デザイナー」や「構造技術者」と呼ぶこともあります。

意匠設計に基づいてその建築物の構造計算を行い、建物の基礎や骨組みを設計。さらに建物を支える柱や梁、壁などのサイズや形状、配置を決め、建築基準法に適合した建築物になるように調整していきます。

地震災害、積雪の多い日本において、構造設計はとても重要な役割。一般的には「構造計画」(建築空間をどう構成するかを計画する)、「構造計算」(建築物が安全であるかどうかを表すために計算を行う)、「詳細設計」(構造計算で解析した力の流れに基づき、各部材の接合部分の設計を行う)、「構造図作成」(構造計算、詳細設計の結果に基づき、仕様書、伏図、軸組図、断面リスト、架構詳細図、配筋詳細図などを作成する)という工程で行います。
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建物の構造種別

構造計画では、建物作りの土台となる構造を決める必要があります。代表的な構造材は木材、鉄筋コンクリート、鋼など。耐震性、防音性、耐火性、通気性を見極め、立地や希望の建物に合った材料を選ぶ必要があります。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

■鉄筋コンクリート造

RC造と表記されることの多い、鉄筋コンクリート造。鉄筋とコンクリートを組み合わせて固めたもので柱や梁、床や壁を構成しています。コンクリートはものにもよりますが、通気性が悪いことも多いため、特に湿気の多い日本では、カビや結露が発生しやすい点にも注意しなければいけません。

■鉄骨鉄筋コンクリート造

SRC、ラーメン構造と表記されることもあります。骨組みの中に鉄骨を埋め込んでいるため、RC造よりも頑丈であることが特徴ですが、RC造より鉄骨を多く使用している分、材料費が高くなります。

■アルミ造

アルミニウム(Aluminum)製の建材で建てられた建物構造のこと。鉄骨と比べておよそ3分の1程度の重さであること、加工がしやすい、錆や腐食にも強いことが特徴です。耐震性は問題ないものの、強度は高くないため、2階建て以下の建物に使用される種類の建材となります。

■木造

湿気の多い日本に適している人気の素材です。木造は柱や壁の間に隙間を開けて建てるので通気性が良く、カビが発生しにくい構造となっていますが防音性は低め。木の種類によって密度が異なったり、節があったりと、使用する場所が限定されてしまうことも。

■軽量鉄骨造/重量鉄骨造

骨組みに鉄骨(Steel)を使った構造を指し、S造と表記されます。鋼材の厚さの種類によって「軽量鉄骨造」(厚さ6mm以下の鋼材/一般家庭の自宅など向け)と「重量鉄骨造」(鉄骨の厚みが6mm以上/大型の商業施設向け)に分かれます。強度があることが特徴です。

■コンクリート充填鋼管構造

コンクリートを鋼管の内部に充填した建材を使用した構造で、CFT造と表記されます。耐震性にも耐久性にも優れており、商業施設など大型の種類の建物で使用されています。柱と梁の接合部分が複雑になるためコストがかかる、隙間などの充填に手間がかかるなどの難点も。

■壁式鉄筋コンクリート構造

Wall Reinforced Concreteの略でWRC造と表記されます。鉄筋コンクリート構造ですが、RC造と違ってWRC造では柱と梁は使用せず、床に分厚い床スラブという建材と構造壁を使用します。耐震性を確保するためにある程度壁を厚くしなくてはいけないため、後からリフォームやDIYで間取りの変更ができない可能性も、先に伝える必要があります。

■コンクリートブロック造

コンクリートブロックを積み上げて建築する構造の建物のことでCB造と略されます。日本の場合は、コンクリートブロックを積み上げるだけでは建物としての許可が下りず、鉄筋が中に通った仕様になっています。耐久性・耐火性に優れているため、小規模の住宅や倉庫に用いられています。

構造設計者に求められる資格、スキルとは?

構造設計の仕事は、「一級建築士」「構造設計一級建築士」「JSCA建築構造士」などの資格が役に立つでしょう。

AIが発達している現在も「構造設計」の仕事は機械にとって代わることができないと言われています。上記の資格を取得しつつ、技術を身につけて経験を積むことができれば、生涯にわたり活躍することも可能といえます。

意匠設計を担う建築デザイナーが花形として注目されがちですが、構造設計者がいないと建物は成り立ちません。まさに構造設計者は「縁の下の力持ち」とも言える存在。建物の利用者の安心・安全を守る、やりがいのある重要な業務といえるでしょう。

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