公開日:2022年1月4日
(更新日:2023年6月27日)
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国土交通省が「
i-Construction(ICTの活用で生産性アップを目指す取り組み)」を推進する昨今、建築業界でもAIなど最先端IT技術の導入が進行。施工管理の業務や関連する仕事でオンライン化・自動化が進んだ結果、作業効率が高まり、深刻化していた長時間労働や重労働、人手不足が徐々に解消されつつあります。一方で「オンライン化・自動化がいずれ人の仕事を奪うのでは?」と懸念している人も多いのではないでしょうか。今回はオンライン化・自動化が進む建築業界について解説するとともに、人にしかできない業務についても振り返ります。
建築業界でオンライン化・自動化が進行している分野は?
政府は「i-ConstructionやICTによって生産性を2025年までに2割向上させる」という目標を掲げており、建築業界でもオンライン化や自動化が加速中です。具体的にどのような場面で導入されているのか、代表的なシステムを紹介します。
■施工管理アプリ
図面など紙の資料を印刷したり持ち運んだりする必要がない便利なツールです。クラウド型のアプリなら、図面や写真などの情報をどこにいてもリアルタイムでほかの社員と共有可能。データ入力や情報確認、管理のために現場から会社へ移動する時間も省くことができます。
■BIM
設計に用いるCADは従来、平面で描く2Dが主流でしたが、近年は立体で表現できる3Dを導入する企業が増加。2Dの図面は人によって理解の仕方に違いが出て、どのような建物になるか完成までわからないケースもあります。一方の3Dは立体的に見ることができるため、実際の建物をイメージしやすく、施工主への説得力が増し、提案をスムーズに進めることが可能です。
昨今では「BIM(Building Information Modeling)」の需要も高まってきました。図面を2次元で設計したうえで3次元化する3DのCADに対し、BIMは最初から3次元で設計できるのが特徴です。また、設計だけでなく、1つのデータに付随する情報も連動させて管理することが可能。一か所を修正すると、平面図、断面図、立面図、屋根伏図、数量表、面積表、パースなど全てが自動で修正されるため、作業時間を大幅に削減できます。
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■3Dプリンタ
建築模型を3Dプリンタで制作する取り組みが増えています。建築模型は従来、プラスチックや紙を使い作成していましたが、3Dプリンタを使えば、CADソフトで設計したデータを送信するだけで、スピーディーに建築模型を完成させることができます。
■ドローン
測量は、測量器を使うと多くの人員が必要なうえ何日もかかりますが、カメラ付きドローンを使うと少ない人員で済むうえ、わずか1日ほどで完了します。また、ドローンで測量したデータは、3次元モデルを作成しやすいのも特徴の一つ。近年は、3次元の測量をほぼ自動で行うサービスや、精密な地表データを取得できるレーザードローンも登場しています。
自動化・オンライン化の時代でも人だからこそできる業務とは?
施工管理は、自動化やオンライン化で削減される業務はあるものの、根本の部分では人の力が欠かせないため、人の仕事自体はなくならないと予想されています。例えば、コンクリ打設をすべきか迷う天候だった場合、AIは一元的な判断しかできませんが、施工管理技士は降水確率や職人の熟練度、次の工程への影響などさまざまな面を考慮し、多元的に判断できます。
また施工管理技士にとって、工事を円滑に進めるために職人や関連会社とやり取りすることは、大切な業務の一つ。AIロボットは、製品によっては人と話すこともできますが、想像力をはたらかせて相手の気持ちに寄り添ったり、親身に相手の話を聞いたりすることはできません。心を通わせたコミュニケーションを取るためには、人の会話スキルが不可欠といえます。
自動化・オンライン化により業務が効率化し、人への負担が減ることで、長時間労働や重労働などの問題が少しずつ解決に向かいつつあります。その一方で、改めて人にしか出来ない業務の大切さも見直されています。自動化・オンライン化により人が行うべき作業が少なくなっても、人だからこそ発揮できるスキルを高めていきましょう。
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