公開日:2024年11月8日
(更新日:2024年11月8日)
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建築系の資格の中でもトップクラスに難易度が高い一級建築士。合格に要する勉強時間は1,000時間以上とも言われています。独学で試験に合格した人も実際にはいますが、しっかりと学習計画を立て、モチベーションを保ち続けることはなかなか難しいものでしょう。今回は、そんな一級建築士の試験内容や難易度、独学のポイントなどを紹介します。
一級建築士試験の難易度は?
建築士の主な資格には、木造建築士、二級建築士、一級建築士の3つがあり、そのなかでは一級建築士がもっとも難易度が高いです。また、試験の受験資格も1番ハードルが高く、建築系の大学で必要単位を取得しているか二級建築士免許所持者か、どちらかの条件を満たしている必要があります。
一級建築士試験は、学科試験と製図試験があり、合格率は、学科試験が15~20%前後、設計製図試験が35%前後、総合合格率は10%前後。建築系の資格の中ではトップクラスであり、気象予報士や行政書士など難関と言われる国家資格と同レベルの難易度とされています。
さらに、試験に合格した後で所定の年数分の実務経験を積まなければ、一級建築士として免許登録はできません。
一級建築士取得後の年収は?
建築士の平均収入は、二級建築士は年収400万円前後、一級建築士は650万円前後とされています。実際には年収が650万円を超える二級建築士もいるため一概には言えませんが、平均値で言えば、二級建築士と比べて一級建築士の年収は1.5倍である、といった単純計算が成り立つでしょう。
もちろん、資格を取得すれば自動的に年収が5割増になる訳ではないため、転職や独立を視野に入れるなど、何かしらのアクションは必要です。資格を有することで確実に仕事の幅は広がりますので、キャリアアップを目指す人はぜひ一級建築士の資格にチャレンジしましょう。
一級建築士試験の内容は?
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■学科試験
一級建築士の試験は学科試験と設計製図試験にわかれており、例年7月に学科試験、10月に設計製図試験が行われます。設計製図試験は学科試験に合格しなければ受験することができません。
学科試験は「計画」「環境・設備」「法規」「構造」「施工」の5科目。四肢択一式で出題数は合計125問、125点満点であり試験時間は6時間です。 科目ごとの出題数は以下の通りです。
- 学科Ⅰ「計画」(20問)
- 学科Ⅱ「環境・設備」(20問)
- 学科Ⅲ「法規」(30問)
- 学科Ⅳ「構造」(30問)
- 学科Ⅴ「施工」(25問)
学科試験には、総得点だけでなく、科目ごとにも合格点が設けられています。総得点が合格点に達していたとしても、5つのうち一科目でも合格点に達していない科目があると合格できません。すべての科目を偏りなく知識を身につけておく必要があるので、苦手科目がある場合は集中的に勉強しておきましょう。
■製図設計試験
製図設計資格試験は、課題に沿って実際にエスキスプランニング(ラフ案)と製図を描く試験です。課題は「大学」「図書館」「集合住宅」など、毎年異なるものが出題されます。
製図がきちんと描ける必要があるのはもちろんですが、時間制限がありますので、ラフから製図まで一定のスピードでこなせるようにならなくてはいけません。学科試験と違い暗記や勉強だけでは合格できませんので、何より実際に手を動かし練習することが必要です。多いに越したことはありませんが、試験までに最低でも30枚ほどを描きあげることが目安とも言われています。
独学で一級建築士合格を目指す場合のおすすめの勉強法・ポイントは?
難易度の高い一級建築士試験。建築の分野において実務経験も知識もまったくのゼロという状態からは、まずは受験資格を得るために学校に通うか実務経験を積む必要がありますが、関連する仕事で経験がある人や、二級建築士免許をもっているという人であれば、独学で合格することも可能です。
独学の場合は、金銭的にも負担が少なく、また、働きながらでも自分のペースで勉強を続けることができるのが大きなメリット。一方で、1,000時間勉強することを目標に、スケジュールを立てきちんとこなしていくことが重要となるでしょう。
参考までに、一級建築士資格を対象としたスクールは、受験年度の前年4月から開校されており、翌年7月の学科試験までに1年3ヵ月ほどの勉強期間があります。知識があり独学で勉強する場合でも、最低1年ほどの勉強期間は見積もっておいたほうがよいでしょう。長期にわたるため、毎日コツコツと勉強を積み重ねていくことが大事です。週末などにまとめて勉強するよりも、短時間でもよいので毎日勉強した方が、知識が定着しやすく、結果的に効率的です。
効率がよい勉強の流れの一例として、以下の順を参考にしてみてください。
- 参考書で5科目をひととおり勉強。総合的に知識を身につける
- 再度各科目を復習しながら得意科目と苦手科目を知る
- 苦手な科目を集中的に勉強
- 過去問題集を使って知識を深めていく
また、設計製図は、繰り返し練習することが大事です。独学の場合、フィードバックがもらえないので、製図の経験が少ない人は、学科以上に大変かもしれません。最初のうちは過去の回答例などを参考に、トレースで練習するのがおすすめ。まずはさまざまな課題で最後まで描ききれるようになることが第一ステップです。その後、早く描ける手順を見つけていくのがよいでしょう。
さらに令和2年の改正建築士法により、学科試験を一度合格した場合の免除期間が3年から5年に延長され、そのうち合格した年も含め、3回まで製図設計試験を受けることができるようになりました。以前より製図設計試験の対策に時間をかけることができるようになっているため、学科試験までは独学で合格を目指し、製図設計試験が難しそうであればスクールに通うといった選択肢も選びやすくなっています。
千里の道も一歩から、まずは学科試験の準備からスタートしてはいかがでしょうか?
【参考】国土交通省 建築士法の一部を改正する法律(平成30年法律第93号)等について
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